「生活単元(せいかつたんげん)」という授業を耳にしたことはありますか?
「自立活動」と同様に特別支援学級の見学や説明会で出てくることが多い言葉ですが、実際にどんな学習なのか、イメージがつきにくい方も多いと思います。
そこで今回は、現役の特別支援学級担任の立場から「生活単元とは何か」「どんなねらいがあるのか」をわかりやすく解説していきます。
生活単元とは?
文部科学省によると
生活単元学習は,児童生徒が生活上の目標を達成したり,課題を解決したりするために,一連の活動を組織的・体系的に経験することによって,自立 や社会参加のために必要な事柄を実際的・総合的に学習するものである。 生活単元学習では,広範囲に各教科等の目標や内容が扱われる。
と説明されています。
簡単に言うと、子どもたちが日常生活の中で必要となる力を育てるための学習です。
たとえばこんな活動があります。
- 買い物学習(お金の使い方、商品を選ぶ力)
- 調理活動(材料を揃える、役割分担、作って食べる)
- 公共施設の利用(バスの乗り方、図書館の使い方)
- 季節行事(野菜を育てる、節分などを楽しむ)
つまり、教科書だけでは学びにくい 「生活に直結する学び」 を、実際の体験を通して身につけていく授業なのです。
生活単元のねらい
「生活単元」で大切にしていることは、大きく分けて3つあります。
- 学んだことが生活に活かせること
例:買い物や調理を通して「自分でできること」を増やす。 - 社会でのルールを知る
例:公共の場でのマナー、他者との関わり方を学ぶ。 - 目標を持って積極的に取り組む
例:作った料理をみんなで食べることで「やってよかった!」と実感する。
生活単元の魅力
私が担任として感じる「生活単元」の魅力は、子どもたちの生活に直結しているということです。
小学生の子どもは、国語、算数や理科、社会など学んだことを実生活の中で活かすことは難しいことが多いです。
しかし、生活単元で学んだ公共交通機関の使い方や買い物の仕方などは、次の日からでも実生活に活かすことができます。
このように子どもたち自身が、「できるようになったよ」と保護者の方に胸を張って言えることが増えていく。これが生活単元の魅力であり、楽しさであると私は思っています。
まとめ
生活単元は、特別支援学級ならではの大切な学習です。
机の上だけでなく、学んだことを実際に体験することで、子どもたちが将来にわたって使える力を育てていきます。
保護者の方からも、
「育てた野菜を嬉しそうに食べています!」
「電車やバスに乗るなど、やらせてあげたいけれど、なかなかできないので助かります」
という声をよくいただきます。
次回は、実際の授業例についても紹介していきますので、ぜひ読んでみてくださいね。