お子さんが特別支援学級に勧められたときの考え方・受け止め方
「特別支援学級を検討してみませんか?」
このように、学校の教員や町や市の職員の方から突然言われたら・・・・
大変驚くことでしょう。急な出来事で頭が真っ白になるかもしれません。
そんなことを言われても、うちの子は絶対通常学級が良い。と考える人もおられるでしょう。
ですが、一旦立ち止まり、考えてみてください。
大切なのは、子どもにとって 一番よい選択は何か。ということです。
ではもし、特別支援学級を勧められた、どのように考え、受け止めていけばよいのでしょうか。
そもそも特別支援学級とは何か
特別支援学級とは、文部科学省によると
小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/002.htm
【対象障害種】
知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者・情緒障害者
と、定義されています。
これを見て、「いやいや、うちの子は何も障害なんて持っていないし、そんな診断をされたこともない!」
と思われる方も多いと思われます。
実際、5年間特別支援学級を担任していても、
何も診断を受けていなくても、支援学級に在籍する児童は少なくありません。
場合によっては、そのような児童の方が多いこともあります。
事情は児童によって様々で、授業中座っていることが難しい子、学力が学年相当に届かず、一斉学習が難しいと判断された子、コミュニケーションを取ることが難しい子などなど多岐にわたります。
様々な特性で、通常級よりも、少人数でその子に合わせた学習の仕方や生活を送る。
これが特別支援学級です。
次項からは、特別支援学級を勧められたときの具体的な考え方、受け止め方についてです。
どうして勧められたのか?
まずは、お子さんがどうして特別支援学級を勧められたのか、その理由を伺ってみましょう。
その理由から、やはり通常級では難しいのか。それともそれくらいなら、通常級でもがんばること
ができるのではないか。という判断の一つになるでしょう。
また、場合によっては、発達検査を勧められるかもしれません。
発達検査には、様々な種類があり、どれも子どもの得意不得意やIQなどを測るために
行われます。
検査を受けること=特別支援を受ける ということにはなりませんので、
お子さんの特徴を理解する上でもぜひ一度受けてみることをおすすめします。
お子さんにとって一番大切なことは?
通常級か支援学級かという選択は非常に悩ましいでしょう。
ここで大切な考え方は、〝その子の学校生活で何を一番大切にしたいか〟です。
たくさんの保護者の方と面談をさせていただいて、みなさんが口を揃えておっしゃるのが、
「支援学級では、友達との関わりが少なくなってしまいそうで心配。」ということです。
たしかに、通常級に比べたら人数も遥かに少ないですし、関わる時間はどうしても減ってしまいます。
「とにかく友達と関わることを第一優先にしたい。」というお考えならば、通常級という選択もあるでしょう。
しかし、特別支援学級に在籍したからといって、通常級の友達と一切関わらなくなるかというと
そうではありません。
児童によっては、学活、総合、音楽、体育、図工、理科、社会など教科によって、通常級で学ぶこともあります。
また、休み時間には、クラスのレクに混ざったり、クラスに遊びに行ったりということも頻繁に行われています。
もちろん、友達との関わりも大切で欠かせないものですが、私が小学校生活で大切だと思うのは、
時間を守る、着替え、整理整頓、上手なコミュニケーションなどの基本的な生活と基礎基本的な学力を身につけることです。
なぜなら、これらが身に付かずして、その先の中学、高校、大学、社会人と続く人生の中で、自立していくことが難しくなってしまうからです。
全体の中では、学び、身につけることが難しくても、少人数でじっくり行うことで、多くのことを身に付けてきた子どもたちを見てきました。
「将来のために、小さいうちから基本的なことを身に付けさせたい」ということを優先したいと考える方は、特別支援学級という選択は、その子の可能性を大きく広げるかもしれません。
今一度、お子さんにとって一番大切なことはなんだろう。何を優先させてあげるべきだろう。と考えてみてください。
特別支援学級から通常級に戻れるの?
「一度支援学級に入ったら、通常級に戻ることはできますか?」
これもよく聞かれる質問です。
結論から言うと、
「戻ることはできます」
実際に私の教え子でも戻った子はいます。
中学に上がるとき、高学年になったとき、など
タイミングは様々です。
ただ、先程も述べたように、子どもにとっての最善の選択は何か。という視点が大切です。
通常級に戻ることがゴールとならないように気を付けましょう。大切なのは、その先の子どもの未来です。
勧められたら必ず入級しないといけないの?
特別支援学級を勧められたからといって、必ず入級しなくてはいけないわけではありません。
覚えておいてほしいことは、
最終決定権は、保護者にある
ということです。
どれだけ勧められても、保護者の意見は優先されます。
決定は慎重に
当たり前の話ですが、入級の選択はお子さんの学校生活を大きく左右します。そして、それはお子さんの将来にも繋がります。
「特別支援学級を検討してみませんか?」
という話が来たら、市町村、学校の担当に納得の行くまで相談することが大切です。
実際に見学にいかれるのも良いでしょう。
実際の生活、子どもたちの様子がわかり、イメージがしやすくなると思います。
市町村の担当の方に学校との間に入ってもらい、見学の場を設定してもらいましょう。
特別支援と聞いて、きっと不安でいっぱいになることでしょう。
ですが、家庭だけで抱え込まず、いろいろな機関に相談されることをおすすめします。
特別支援学級もお子さんのより良い学校生活を送るために設定されています。
お母さん、お父さんの選択が、お子さんにとってベストなものになるよう、そしてお子さんが充実した学校生活を送ることができるよう願っております。