特別支援学級のメリット・デメリット|入る前に知っておきたいポイント

「子どもに特別支援学級を勧められたけど、本当に入れるべき?」
保護者の方の中には、こんな悩みを抱えている方も多いはずです。
この記事では、教員として日々子どもたちを支援している立場から、特別支援学級のメリットとデメリットをできるだけわかりやすくお伝えします。

目次

特別支援学級に入るメリット

1. 少人数で学べる

支援学級は1クラスの上限は8人。通常学級よりも圧倒的に人数が少なく、先生の目が行き届きやすい環境になっています。
子どもの理解度やペースに合わせた丁寧な指導が可能で、学習の定着率も上がります。
大人数だと集中が続かない子やプレッシャーを感じやすい子にとっては、学習のハードルが下がり、学びやすさにつながります。

私が担任した子にも、パーテーションで囲って集中できる環境を整えることで、学習をぐんぐん進められる子がいました。
これは、特別支援学級だからこそできたことです。

2. 学習面と生活面を同時にサポート

特別支援学級では、学習だけでなく生活の基礎も丁寧に教えます。
たとえば、整理整頓、授業中の姿勢、気持ちの切り替え方など、将来に必要な基礎的な力を身に付けられます。
さらに、買い物や公共交通機関を使う学習など、様々な体験を通して生きていくために必要な力を学ぶことができます。

3. 安心できる人間関係

同じような特性を持つ子どもたちと過ごすことで、学校生活への不安が軽くなり、友達関係も築きやすくなります。
集団の授業や交流が難しい子でも、安心して学校に通えるようにもなります。
また、少人数だからこそ先生との関わりも深く、信頼関係が築きやすいのも大きなメリットです。学校内に頼れる、味方になってくれる人がいると思えることは、子どもにとっても心強い支えになります。

私が教えた子でいつも不安感が強い子がいました。その子は、何か取り組む前に担任の私が「大丈夫。できるよ。」と言うと、取り掛かることができました。信頼関係ができている先生に背中を押されることがその子の力になっていたのだと思います。

4. 学習の土台をじっくり固められる

通常学級では進度が速くてつまづきやすい内容も、支援学級では基礎を繰り返し学べます。
苦手を早めに克服することで、次の学習にもスムーズに移行できます。
一人一ひとりに合った学習方法や内容を工夫することで、苦手を少しずつ克服し、その子の将来につながる学びの基盤を育てていけます。

特別支援学級のデメリット・注意点

1. 学習進度が変わることがある

少人数で丁寧に学べる反面、子どもの理解に合わせて授業を進めるため、通常学級より進度がゆっくりになることがあります。
  中学校卒業後に通常の高校進学を目指す場合は、早めに考えておく必要があります。事前に確認しておくと安心です。

2. 周囲の誤解やレッテル感

「特別支援学級=できない子の場所」と思われることも、残念ながらまだあります。
ただ、現場の実感としては、特別支援学級のクラス数も増えていて、以前に比べると理解は広がってきています。
とはいえ、学校によって雰囲気は違うので、見学や先生への相談で確認しておくと安心です。

3. 入級のタイミングが限られる

基本的に、特別支援学級への入級は学年替わりのタイミングのみです。
年度途中で急に入ることはできないため、早めの相談と検討が必要です。

また、在籍を変える(通常学級⇆特別支援学級)ことは子どもへの負担も大きいので、何度も繰り返すことは望ましくありません。

決定は慎重に行いましょう。

4. 同学年との友達と関わる機会が減る

特別支援学級は少人数クラスのため、同学年の友達と関わる機会はどうしても減ってしまいます。
とはいえ、休み時間やクラスレク、交流授業、学校行事など関わる機会は必ずあるため、全く無くなるわけではありません。

まとめ|子どもに合った環境を一緒に考える

特別支援学級には、

  • 少人数で学べる
  • 生活習慣や学習習慣を丁寧に学べる
  • 安心して人間関係を築ける

といった大きなメリットがあります。一方で、学習進度や同学年の友達との関わり、入級のタイミングなど注意点があることも事実です。

私が日々子どもたちを見ていて強く感じるのは、「どの学級にいるか」よりも「子どもが安心して学べる環境はどこか?」という視点が大切だということです。
迷ったときは学校の先生や特別支援コーディネーターに相談しながら、子どもにとって最適な環境を一緒に探していきましょう。

目次