「来年度から特別支援学級を検討しているけれど、子どもにどう説明すればいいの?」
「特別支援学級を勧められたけれど、子どもが嫌がったらどうしよう……」
「子どもにわかりやすく伝えるには、どうしたらいいのだろう?」
このような悩みを抱えている保護者の方も多いのではないでしょうか。
お子さんのことを考え、特別支援学級という選択肢を検討していても、本人にどう伝えればよいのかは難しい問題ですよね。
特に、高学年になると友達関係が深まり、今のクラスや学校生活への思いも強くなります。そのため、特別支援学級について話を切り出しにくいと感じる保護者の方もいると思います。
そこで今回は、私が教員として経験してきたことをもとに、特別支援学級について子どもに説明するときのポイントをご紹介します。
お子さんと話し合う際のヒントとして、参考にしていただければと思います。
1.まずは困っていることや心配なことを共有する
特別支援学級について話すとき、いきなり「来年度から特別支援学級に行ってみない?」とは切り出しづらいですよね。
まずは、学校生活で困っていることや、本人が心配していることについて話してみてはいかがでしょうか。
例えば
- 「最近、学校で困っていることはない?」
- 「授業が難しいと感じることはある?」
- 「勉強で、もう少しゆっくり教えてもらいたいなと思うことはある?」
- 「先生と話していて、学校で困っていることがないかなって心配しているんだ」
このように話すことで、子ども自身が学校生活についてどう感じているのかを知るきっかけになります。
もし本人が困っていることを話してくれたら、その気持ちを受け止めながら話を広げていきましょう。
一方で、本人が「困っていない」「別に大丈夫」と話すこともあると思います。
その場合は、無理に困りごとを認めさせようとする必要はありません。
子ども自身は困っていると感じていなくても、保護者や先生から見ると、学習面や生活面で心配なことがあるかもしれません。
そのようなときは、本人の感じ方を否定せず、保護者や先生が心配していることを具体的に伝えてみましょう。
大切なのは、子どもを説得することから始めるのではなく、本人の気持ちを知り、親子で一緒に考えることです。
2.特別支援学級での生活について具体的に話す
特別支援学級について話すときには、実際にどのような学校生活になるのかを、子どもがイメージできるように伝えることも大切です。
例えば、次のようなことを説明できるとよいでしょう。
- どのような授業を受けるのか
- 休み時間はどのように過ごすのか
- 給食や掃除はどうなるのか
- 今のクラスの友達とはどのように関われるのか
- 困ったときには誰に相談できるのか
ただし、特別支援学級での過ごし方は、学校の体制や本人の状況によって異なります。
そのため、事前に先生との面談などで確認し、実際の学校生活に沿って説明することが大切です。
今の友達と離れることを心配している場合
子どもの中には、勉強のことよりも、仲のよい友達と離れてしまうことを心配している子もいるでしょう。
特に高学年になると、友達との関係が学校生活の大きな支えになっていることもあります。
そのような場合には、特別支援学級に在籍した場合、今のクラスの友達とどのように関われるのかを確認しておきましょう。
学校の体制や本人の状況によっては、例えば次のような関わり方が考えられます。
- 給食を一緒に食べる
- 掃除を一緒に行う
- 休み時間に友達と遊ぶ
- 一部の教科を交流学級で受ける
もちろん、すべての学校で同じようにできるわけではありません。
実際に可能なことを先生に確認したうえで、「今の友達とどのように関われるのか」を具体的に伝えてあげましょう。
子どもが心配していることを一つずつ確認し、わからないことは一緒に先生に聞いてみる。そのような姿勢が、安心感につながると思います。
3.特別支援学級のよさを具体的に伝える
特別支援学級について話すときには、不安や心配なことだけでなく、どのようなよさがあるのかも伝えてみてください。
具体的には
- 「〇〇学級は、落ち着いた環境で勉強ができるよ。」
- 「〇〇ちゃん、〇〇くんのスピードやわかり具合をよく見て授業を進めてくれるよ。」
- 「なにかわからないことや困ったことがあったら、すぐに先生が来てくれるよ。」
- 「自立活動や生活単元学習とか、〇〇学級にしかない特別な授業もあるんだって」
などが考えられます。
※学校の状況等、先生に確認してからお子さんに伝えてくださいね。
大切なのは、よいところを一方的に伝えるのではなく、子ども自身にとってどのようなメリットがあるのかを考えながら説明することです。
例えば、勉強についていくことに不安を感じている子であれば、学習面でどのように助けてもらえるのかを伝えられると安心に繋がります。
一方、友達関係を心配している子であれば、学習面の話だけでは不安が解消されないかもしれません。
その子が何を心配しているのかを理解し、それに合った情報を伝えることが大切です。
また、特別支援学級に在籍すれば、必ずすべての困りごとが解決するわけではありません。
実際に受けられる支援や学校生活について先生に確認し、期待できることを具体的に伝えるようにしましょう。
こうした話をきっかけに、子どもが「どんなところなのか、ちょっと見てみたいな」と思ってくれたら、次の見学や体験にもつながりやすくなります。
4.まずは見学や体験をしてみる
特別支援学級について話を聞いただけでは、実際の様子をイメージすることが難しい子もいます。
そのような場合には、学校と相談しながら、見学や体験を検討してみましょう。
初めての場所や活動に不安を感じる子にとって、実際に教室を見たり、先生と話したりすることは、環境を知るきっかけになります。
私がおすすめしたいのは、いきなり大きな変化を求めるのではなく、本人が無理なく取り組めるところから始めることです。
① 教室の見学
最初は、保護者と一緒に教室の見学をすることから始めてもよいでしょう。
教室の様子や学習している子どもたちの姿を見ることで、特別支援学級がどのような場所なのかを具体的に知ることができます。
「知らない場所」から「見たことがある場所」になるだけでも、本人のイメージが変わることがあります。
ただし、見学したからといって、すぐに抵抗感がなくなるとは限りません。本人の反応を見ながら、ゆっくり進めていきましょう。
② 体験の検討
見学をして、本人がもう少し知ってみたいと思ったら、体験についても先生に相談してみましょう。
体験の内容は、本人の興味や得意なこと、不安に感じていることなどを踏まえて考えることが大切です。
例えば、自立活動でのゲーム性のあるものなど、本人が参加しやすい活動を取り入れることも考えられます。
もちろん、体験の内容は学校の体制や本人の状況によって異なります。
体験の前には、どのような活動をするのか、誰が一緒にいるのか、どのくらいの時間を過ごすのかを確認し、本人が見通しをもてるようにしておくとよいでしょう。
③ 体験後の気持ちを確認
体験をした後は、「楽しかった?」と聞くだけでなく、どのようなことを感じたのかをゆっくり聞いてみましょう。
「どんなところがよかった?」
「ちょっと心配だなと思ったことはあった?」
「もう一度行ってみたいと思った?」
このように聞くことで、本人が感じたことや、まだ不安に思っていることを知るきっかけになります。
体験してみて嫌だったことがあれば、その気持ちも大切にしましょう。
見学や体験は、特別支援学級に入ることを決めるためだけのものではありません。本人が環境を知り、自分の気持ちを考えるための機会でもあります。
5.子どもが特別支援学級に入りたくないと言ったら
ここまで、特別支援学級についての伝え方や、見学・体験の進め方についてご紹介してきました。
しかし、保護者の方がどれだけ丁寧に説明しても、子どもが「特別支援学級には入りたくない」と話すこともあると思います。
特に高学年になると、友達との関係や、今まで過ごしてきたクラスへの思いが強くなることがあります。
そのため、特別支援学級に移ることに抵抗を感じるのは、決して不思議なことではありません。
では、子どもが入りたくないと言った場合、どう考えればよいのでしょうか。
まずは、入りたくない理由を聞く
子どもが特別支援学級に入りたくないと言ったときには、まず、その理由を聞いてみましょう。
例えば、
- 今の友達と離れたくない
- 周りからどう思われるか心配
- 特別支援学級がどのような場所なのかわからない
- 今のクラスで勉強を続けたい
- 新しい環境に変わることが不安
など、さまざまな理由が考えられます。
本人の理由を聞かずに、「あなたのためだから」と説得しようとすると、かえって不安や抵抗感が強くなることもあります。
まずは、子どもが何を心配しているのかを理解することから始めましょう。
子どもの気持ちと、必要な学習環境の両方を考える
一方で、子どもが入りたくないと言っているからといって、それだけで在籍先を決めてしまうことにも慎重である必要があると私は考えています。
保護者の方や先生が特別支援学級を勧める背景には、学習面や生活面での困難さがあり、今後の成長を考えて、より適した環境を検討しているという事情があるかもしれません。
そのような場合には、本人の気持ちを尊重しながらも、どのような学習環境であれば力を伸ばしていけるのかを、改めて考えることが大切です。
大切なのは、子どもの気持ちを無視して話を進めることでも、本人が嫌がっているという理由だけで検討を終えることでもありません。
本人が何を心配しているのか、どのような支援が必要なのか、学校ではどのような環境を用意できるのか。こうしたことを、保護者と先生が一緒に考えていくことが重要です。
必要に応じて、見学や体験を重ねたり、学校での過ごし方を具体的に確認したりしながら、本人が納得できる方法を探していきましょう。
特別支援学級に在籍するかどうかは、子どもの将来にも関わる大切な選択です。焦って結論を出すのではなく、本人の気持ちと必要な支援の両方を踏まえ、学校と十分に相談しながら検討してほしいと思います。
6.まとめ
今回は、特別支援学級について子どもに説明するときのポイントをご紹介しました。
大切なことを改めて整理すると、次の4つです。
- まずは学校生活で困っていることや心配なことを共有する
- 特別支援学級での生活を具体的に説明する
- 本人に合った見学や体験を検討する
- 子どもの気持ちを尊重しながら、必要な学習環境について学校と相談する
特別支援学級について、子どもにどのように伝えればよいのか悩むのは、それだけお子さんのことを大切に考えているからだと思います。
すぐに理解してもらえなくても、焦る必要はありません。
子どもの気持ちを聞きながら、一つずつ疑問や不安を解消していくことが大切です。
そして、保護者の方だけで抱え込まず、学校の先生とも相談しながら、お子さんに合った学習環境を考えていきましょう。
この記事が、お子さんと特別支援学級について話すときのヒントになればうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!