「生活単元学習って、どんな学習をするの?」
「買い物学習では、具体的に何を学ぶんだろう?」
このような疑問をもっている保護者の方もいるのではないでしょうか。
生活単元学習では、子どもたちが日常生活や社会生活に必要な力を身につけられるよう、実際の生活に結びついた活動を行います。
今回は、私がこれまでに経験した生活単元学習の中から、「買い物学習」の実践例をご紹介します。
買い物学習のねらいや事前準備、当日の活動の様子、子どもたちに合わせた支援の工夫について、具体的にお伝えします。
1.生活単元学習とは?
生活単元学習とは、子どもたちが生活上の目標を達成したり、課題を解決したりするために、一連の活動を通して必要な力を学ぶ学習です。
文部科学省では、生活単元学習について、自立や社会参加に必要な事柄を実際的・総合的に学習するものと説明しています。
生活単元学習では、日常生活に関係するさまざまな活動を通して、教科で学んだ知識や技能を実際の場面で活用することも大切にしています。
生活単元学習のねらいや特徴については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

2.生活単元学習の実践例 〜買い物学習〜
今回は、生活単元学習の代表的な活動の一つである「買い物学習」をご紹介します。
買い物学習の大きなねらいは、買い物を通して社会経験を積むことと、学校で学んだことを実際の生活で活用することです。
例えば、次のような力を学ぶ機会になります。
- お店や公共の場でのルールやマナーを身につける
- 商品を探し、自分で選ぶ
- お金の計算や支払いを経験する
- 店員さんとのやり取りを経験する
- 予算を意識しながら買い物をする
また、算数で学んだ足し算やかけ算、概数などを、実際の買い物の場面で活用することもできます。
私が経験した買い物学習では、地域のスーパーやドラッグストアなどに出かけました。
活動の一例として、事前に家族から買ってきてほしい物を聞き、お店で探して購入するという内容があります。
また、決められた予算の中で、自分の欲しい物を一つ選んで購入する活動も行いました。
計算機を使ったり、暗算をしたりしながら、予算内で買い物ができるかどうかを考えます。
ただ商品を買うだけではなく、これまで学んだことを実際の場面で使うことが、買い物学習の大切なポイントです。
それでは、実際に買い物学習を行うまでの準備についてご紹介します。
3.買い物学習の事前準備
買い物学習では、お店に出かける前の準備も大切です。
私が経験した実践では、主に次の4つについて事前に確認や練習を行いました。
- お店までの行き方
- お店でのマナー
- 商品の選び方
- 支払いの仕方
一つずつ見ていきましょう。
① お店までの行き方を確認する
お店までの行き方は、目的地や移動手段によって異なります。
複数回に分けて活動を行う場合には、1回目は歩いて行ける地域のお店、2回目はバスや電車などの公共交通機関を利用するお店というように、活動内容を変えることもあります。
徒歩で移動する場合は、道順や道路を歩くときの注意点などを確認します。
バスや電車を利用する場合には、切符の買い方や交通系ICカードの使い方、乗車時のマナーなども学びます。
以前、教室に改札や券売機に見立てたものを設置し、切符を買う手順や改札を通る練習を行ったこともあります。
実際に出かける前に教室で練習しておくことで、当日の活動をイメージしやすくなります。
② お店でのマナーを確認する
買い物学習では、公共の場でどのように行動すればよいのかを学びます。
お店には、地域の方をはじめ、さまざまなお客さんがいます。
そのため、自分が買い物をすることだけでなく、周囲の人のことも考えて行動する必要があります。
例えば、お店の中を走らないことや、ほかのお客さんの迷惑にならないようにすることなど、活動する場所に合わせて確認します。
大切なのは、してはいけない行動を伝えるだけでなく、どのように行動すればよいのかを具体的に伝えることです。
③ 商品の選び方を練習する
商品を選ぶことも、買い物学習で身につけたい力の一つです。
商品を探すときには、買う予定のない商品を必要以上に触らないことなども確認します。
また、スーパーやドラッグストアに行く場合と、ドーナツ店やおにぎり店に行く場合では、商品の選び方も変わります。
実際に行くお店や購入する商品をあらかじめイメージし、どこで何を探せばよいのかを確認しておきます。
自分の欲しい物を選ぶ活動では、事前に買いたい物をある程度決めておくこともありました。
当日になってから何を買うか考えるのではなく、あらかじめ選ぶ物をイメージしておくことで、子どもたちが見通しをもちやすくなります。
自分で選ぶ楽しさを大切にしながら、安心して活動に取り組めるようにするための工夫です。
④ 支払いの仕方を練習する
買い物学習では、支払いの仕方も事前に練習します。
現金で支払う方法のほか、交通系ICカードなどを利用する方法もあります。どの方法を扱うかは、子どもの実態や活動のねらいに応じて考えます。
私が経験した実践では、低学年から中学年くらいの子どもたちは、算数の学習も兼ねて現金で支払うことが多くありました。高学年になると、現金以外の支払い方法を扱うこともありました。
支払いの練習では、商品の金額を確認し、必要なお金を用意して支払うという一連の流れを経験します。
実際のお店で戸惑わないように、教室で繰り返し練習したり、大切な手順を何度も確認したりします。
このように、買い物学習では、移動の仕方から商品選び、支払いまで、必要なことを事前に学んでから校外での活動に臨みます。
4.買い物学習当日の様子
買い物学習当日、子どもたちはワクワクした気持ちとドキドキした気持ちを抱えながら、お店へ向かいます。
お店では、これまでに学んだことを思い出しながら、実際の買い物に挑戦します。
私が経験した活動では、子どもだけで自由に行動するのではなく、教員や補助員が近くで見守ったり、友達とペアになったりして買い物を行いました。
具体的な支援方法は、学校や子どもの実態、活動内容によって異なります。
普段は家族と一緒に行っているお店でも、自分で商品を探し、お金を支払うとなると、緊張した様子が見られることがあります。
活動中には、次のような声が聞かれました。
「無人レジ、できるかな」
「計算、合ってるかな」
「頼まれたものが見つからない」
「あいさつ、ちゃんとできてよかった」
こうした発言からは、子どもたちが自分で買い物をすることに、さまざまな気持ちを抱いていることが伝わってきます。
商品を見つけることに苦労したり、支払いに不安を感じたりする一方で、自分でできたことに達成感を得る姿も見られます。
買い物学習は、学校で学んだ知識や技能を実際の生活場面で使うだけでなく、自分で考えて行動する経験を積む機会にもなっています。
子どもに合わせた支援の仕方
買い物学習では、全員が同じ方法で買い物をするのではなく、一人ひとりの実態に合わせて支援を工夫することも大切です。
私がこれまでに経験した実践では、次のような工夫をしていました。
① 計算が苦手な子には計算機を用意する
商品の金額を計算することが難しい子には、計算機を渡していました。
また、低学年の子どもが買い物をするときには、高学年の子どもが計算機を使って計算をサポートできるようにしていました。
計算が苦手だからといって、買い物そのものが難しくなってしまわないように、道具や友達の力を借りながら取り組めるようにしていました。
このように、計算機を活用したり、異学年の子ども同士で協力したりすることで、それぞれが自分に合った方法で買い物に取り組めるように工夫していました。
② 自分で選ぶ商品は事前にある程度決めておく
自分の好きな商品を選ぶ活動では、当日になってから何を買うか考えるのではなく、事前にある程度決めておくこともありました。
あらかじめ買いたい物を考えておくことで、子どもが見通しをもち、落ち着いて商品を選びやすくなります。
買い物当日に初めて考えることが多いと、何を選べばよいのかわからず、戸惑ってしまうこともあります。
事前に選ぶ物をイメージしておくことは、子どもが安心して活動に取り組むための工夫の一つです。
自分で選ぶ楽しさを大切にしながら、見通しをもって行動できるように支援していました。
③ 不安が強い子には大人がそばにつける体制を整える
買い物に対する不安が強い子や、人とのコミュニケーションに苦手さがある子には、大人がそばで支援できるように人員配置を工夫していました。
買い物では、商品を探したり、店員さんとやり取りをしたり、レジで支払いをしたりと、さまざまな場面で判断や対応が必要になります。
慣れない場所や状況に不安を感じる子にとっては、こうした場面が大きな負担になることもあります。
そのため、子どもが困ったときに必要なサポートを受けられるよう、事前に教員や補助員の配置を考えておくことが大切です。
子ども自身が経験することを大切にしながらも、必要なときには大人が支えられる体制を整えることで、安心して活動に参加できるようにしていました。
買い物学習では、子どもに一律の頑張りを求めるのではなく、一人ひとりに合った支援を用意することが重要だと感じています。
5.買い物学習を終えて感じたこと
買い物学習を終えた後、保護者の方から、次のような声をいただくことがありました。
「すごいやりきったっていう表情で帰ってきました」
「またお使いのお手伝いしたいって言ってくれました」
「買い物に行くと、あの商品ならここにあるよ、と教えてくれるようになりました」
こうした声を聞くと、買い物学習での経験が、学校の中だけで終わるものではないことを感じます。
学校で経験したことを、家庭での買い物やお手伝いなど、日常生活の中で活用する姿が見られるのは、生活単元学習の魅力の一つです。
もちろん、子どもによって身につく力や必要な支援は異なります。一度の活動ですべてができるようになるわけではありません。
それでも、実際の生活に結びついた活動を繰り返し経験することは、自分でできることを増やしていくための大切な機会になると感じています。
また、子どもたちが安心して活動に取り組めるように準備し、一人ひとりに合った支援を考えることも、買い物学習を行ううえで大切なことです。
まとめ
今回は、生活単元学習の実践例として、買い物学習のねらいや事前準備、当日の活動の様子をご紹介しました。
買い物学習では、商品を選ぶことやお金を支払うことだけでなく、公共の場でのマナーや人とのやり取りなど、さまざまなことを学びます。
また、学校で学んだことを実際の生活で活用する経験にもなります。
買い物学習を充実させるためには、事前に必要なことを練習しておくだけでなく、計算機の活用や見通しをもつための工夫、大人が支援できる体制づくりなど、一人ひとりに合わせた支援も欠かせません。
生活単元学習には、買い物学習のほかにも、調理や栽培など、日常生活に結びついたさまざまな活動があります。
今後も、私がこれまでに経験した生活単元学習の実践例をご紹介していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。