「支援学級?通級?」迷っているあなたへ
「通級の制度を検討してみませんか?」
「通級の利用も選択肢のひとつです」
先生や教育センターの面談でこんな言葉を聞いて戸惑った保護者の方も多いのではないでしょうか。
「うちの子、そんなに困ってるの?」
「普通級じゃ無理ってこと…?」
「支援学級? 通級? そもそも何が違うの?」
私も、保護者の方々との面談で何度もこれらの言葉を聞いてきました。
この記事では、支援学級と通級の違いを、現役教員の視点から図解を交えてわかりやすく説明します。
お子さんに合った支援の形を一緒に考えるヒントになれば幸いです。
【図で比較】特別支援学級と通級の違いをざっくり比較
まずは以下の図をご覧ください。支援学級と通級の違いをざっくり整理したものです。
完璧に覚える必要はありません。
「だいたいこういう違いなんだな」という感覚で読んでみて下さい。

とても簡単にいうと、通級指導教室は取り出し授業を行うというイメージですね。
それぞれ、どんな子が対象になるの?
「制度の違いはわかったけど、うちの子にはどっちが合うんだろう?」
そう思われる方も多いと思います。
ここでは、支援学級・通級それぞれに合いやすいケースの一例をご紹介します。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であって、お子さんの特性を測ることはできません。
最終的には「どんな環境なら安心して過ごせるか?」という視点を軸に、学校や専門機関と相談しながら考えていくことが大切です。
支援学級が合いやすいケースの例
- 一斉授業に長時間参加することがつらい(集中が続かない、刺激に敏感など)
- 休み時間や給食、集団での活動でトラブルや緊張が多い
- 授業のペースが極端に合わない、または個別の説明でないと理解しにくい
- 朝の登校から帰りの準備まで、生活全体に支援が必要
- 「普通級だとがんばりすぎてしまう」
「失敗が多くて自信を失いがち」
こうした場合、少人数のゆったりした環境の中で、自分のペースに合わせて過ごせる支援学級が合いやすい傾向があります。
先生と子どもが関わる時間が確保されるため、日々の生活の中で「わかってもらえる安心感」を持ちやすいのが特徴です。
通級が合いやすいケースの例
- 「書字が極端に苦手」「音読になると混乱する」など特定の困りごとがある
- 感情のコントロールがうまくいかず、突然パニックになったような状態になる
- 対人関係に苦手意識があり、練習が必要
- 家庭や本人が「普通級で学び続けたい」という希望を持っている
このような場合、普通学級で過ごしながら、週に1〜2回「部分的な支援が必要なお子さん」に向いています。
学習や人間関係の中で、引っかかりのある部分を補っていく、そんなイメージですね。
【チェックリスト】あなたのお子さんに合っているのはどの環境?
以下の問いに、「はい/いいえ」で考えてみてください。
- □ 集団での授業や活動が、子どもにとってつらそうに見える
- □ 周囲の刺激(音・声・光など)に敏感な様子がある
- □ 課題や宿題に強いストレスを感じているように見える
- □ 友達とのトラブルや誤解が繰り返されることがある
- □ 自分の気持ちを言葉でうまく伝えるのが難しそう
- □ がんばって学校に行っても、帰宅後にぐったりしている
- □ 学校では頑張れているが、家庭で情緒が不安定になる
- □ 「わかってもらえない」という気持ちを抱いていそう
- □ 特定のこと(漢字を読む コミュニケーションをとる)が極端に苦手
判定のヒント(あくまで目安)
- ✔ チェックが多くついた場合:
→ 学校生活全体への配慮が必要かもしれません。支援学級のような環境が合いやすい傾向があります。 - ✔ 少なめで、「ここだけ困っている」という部分がある場合:
→ 通級による補助的支援が役立つこともあります。
※これはあくまでも目安です。
これだけで判断するのではなく、チェックをして気になる事があったら、学校や専門の方に相談してみてください。
まとめ|「安心できる居場所」を一緒に探すということ
支援学級、通級、普通級――
どれが良い・悪いということではありません。
大切なのは、お子さんが安心して自分らしく過ごせる場所かどうか。
支援を受けることは、“特別なこと”でも、“劣っていること”でもありません。
むしろ、その子の育ちに必要な工夫を、ちゃんと考えて選んでいるという、前向きな選択です。
子どもたちは一人ひとり違います。
だからこそ、「この子が安心して、自分らしく過ごせる場所はどこか?」という視点がいちばん大切です。
もし迷っているなら、学校や教育センターなどに相談してみてください。
支援級も通級も、普通級も、どれも「子どもを育てるための選択肢」です。