WISC検査を受けてみませか?と言われたけど、、、
発達についての相談や面談の時に、「WISC検査を受けてみませんか?」と言われる事があります。いきなり「WISC検査」や「発達検査」という言葉を聞くと、
「検査?うちの子どこか悪いの?」
「検査を受けるってどういうこと?」
「特別支援学級に入らないといけないってこと?」
このような不安を抱く保護者の方も少なくありません。
この記事では、WISC検査の目的や検査でわかること、数値の見方についてまとめました。お子さんの理解や支援のヒントになる情報をお届けしたいと思います。
WISC検査とは?目的と使われ方
WISC(ウィスク)検査は、子どもの知的発達を測る心理検査です。お子さんの「得意」「苦手」のバランスや特性を把握する目的で使われます。
5〜16歳を対象としていて、医療機関や教育センター、学校などで行われます。
どんな時に実施されるの?
・就学相談のタイミング
・発達検査の一環として
・学校生活や学習面で「つまずき」がある時
いずれの場合も、保護者から希望があった時に実施されます。
目的は「子どものIQを知ること」ではない
WISCの本当の目的は、その子の得意な力と苦手な力を把握する事です。
つまり、テストの点数では見えない部分を知るためのツール。
IQの高さ・低さを評価するためでなく、支援や指導の方向性を見つけるための検査だということです。
WISC検査でわかる5つの項目
WISCは、細かな課題を通して「知能」をいくつかの側面から測っていきます。
検査結果は次の5つの得点を算出します。
(WISCーⅣの場合)
「全検査IQ」 「言語理解」 「知覚推理」
「ワーキングメモリ」 「処理速度」
それぞれわかることについては以下の通りです。

WISCーⅣ と WISCーⅤの違い
2021年に発行されたWISCーⅤでは、「知覚推理」の指標がなくなり、「視空間」「流動性推理」の二つが追加されました。
「視空間」とは
図形や空間を認識し、それを頭の中で操作する能力
「流動性推理」とは
新しい問題や状況に直面したときに、過去の経験や知識に頼らず、論理的に推論し、問題を解決する能力
※WISCーⅣを使っている自治体や機関もあるので、検査の前に確認しましょう。
結果の見方と注意したいこと
WISCの結果には、いくつかの数値が出てきます。
中でも「全検査IQ」が一番注目されがちですが、それだけを見て何かを判断することはとても危険です。
見るべきはバランスとプロファイル
・全体的に数値がそろっている
→比較的発達が均等
・数値のバラつきが大きい
→得意不得意が明確(支援のヒントになる)
バラつきが大きいほど、「本人の理解しやすい方法とそうではない方法」がはっきりしてるケースが多いです。つまり、ここに支援のヒントが隠れているんです。
保護者の方に伝えたいこと
数字に一喜一憂しすぎないで
・「IQが低い=ダメ」ではありません
・「できないこと」よりも、「この子にどうしたら伝わるか」を考える
・得意を伸ばして、苦手を支えるためのヒントと捉えましょう
・結果は、子どもジャッジするためではなく、育て方を見つけるためのツールです
よくある誤解とアドバイス
「IQが低いから支援学級に入るの?」
そんな声をよく耳にしますが、実際にはIQだけで判断されることはありません。
学校や教育委員会もWISCの結果をあくまでも参考にし、生活・学習全体の様子と合わせて支援を検討します。
WISCは合格・不合格のテストでも、子どもの良し悪しを判断するテストでもありません。
IQが高くても困っている子もいれば、低くても工夫や支援でぐんぐん力を伸ばす子もいます
WISCを支援の地図に
WISCは一つの検査にすぎません。
お子さんの強みと課題を見える形にして、どうサポートすればその子らしく伸びていけるかを一緒に考えていくためのツールとしましょう。
数値に惑わされず、その子自身をより深く理解する事が一番のゴールです。
まとめ|WISCは「育て方のヒント」をくれる検査
・WISCは、子どもの困りごとやつまづきの原因を探るための検査
・数字だけを見るのではなく、「どんな支援が合うのか?」に目をむける
・結果を元に家庭・学校・支援者が連携しながら子どもの育ちをサポートすることが大切
お子さんの特性に合った学び方や関わり方を一緒に見つけていく。WISCはその第一歩となるヒントをくれる検査なのです。