「特別支援学級のほうがお子さんに合っているかもしれない」
「特別支援学級を考えたほうがいいかもしれない」
このように先生から勧められ、悩まれている保護者の方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、
- 特別支援学級に入るタイミングっていつがいいの?
- いつでも入れるの?
- 早いほうがいい? それとも遅くても大丈夫?
と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、特別支援学級担任としての経験をもとに「支援学級に入るおすすめのタイミング」について解説します。
結論|おすすめはなるべく早めに
私の経験からお伝えすると、特別支援学級に入るなら「なるべく早め」がおすすめです。
「低学年だから、もう少し様子を見ようかな」
「高学年になってからでもいいかな」
と考える方も少なくありません。ですが、支援学級に早めに入ることで得られるメリットは大きいです。以下で理由を説明します。
どうして早めがいいの?
理由1 学習の遅れが積み重ならない
例えば1年生で支援学級を勧められたものの「まだ様子を見よう」と通常学級に残った場合。
もし知的な課題があると、算数の土台となる「かけ算」が十分に身につかないまま2年生を終えてしまうことがあります。
かけ算が理解できていなければ、その後の「わり算」や「かけ算の筆算」に進めず、学習のつまずきがさらに広がってしまいます。
一方で早めに支援学級に入れば、少人数・個別支援でじっくり学ぶことができ、基礎を固めやすくなるのです。
理由2 「学校に行きたくない」につながりにくい
情緒面の課題から友達関係がうまくいかなかったり、授業が理解できなくて自信をなくしたりすると、学校が楽しい場所ではなくなってしまいます。
そうなると「行きたくない」という気持ちが強まり、不登校につながるケースもあります。
支援学級なら無理のないペースで学習や人間関係を経験できるため、「学校は安心できる場所」という感覚を持ちやすくなります。
理由3 生活習慣や学習習慣を整えやすい
支援学級では学習だけでなく、生活習慣や学校生活の基本も丁寧に教えていきます。
- 身の回りの整理整頓
- 授業を受ける姿勢や態度
- 気持ちの整理の仕方
- 食事やトイレの習慣
こうした土台は、低学年から時間をかけて身につけることが大切です。早めに環境を整えることで、その後の学習や集団生活にもスムーズに移行できます。
早ければいいとは限らない|注意点
「なるべく早めがおすすめ」とはいえ、すべてのお子さんに当てはまるわけではありません。状況によっては慎重に考える必要もあります。
注意点1 お子さんの気持ちを大切に
大人の判断だけで環境を変えてしまうと、お子さんが「どうして自分だけ特別支援学級に行かなきゃいけないの?」と不安や抵抗を感じてしまうことがあります。
担任や担当教員としっかり話し合い、できる範囲でお子さん本人にも説明をして、納得感を持って前向きな気持ちでスタートできるようにしてあげることが大切です。
体験もできると思いますので、子どもに子どもに慣れさせてあげるためにも計画的に行うことをおすすめします
注意点2 学級の支援体制や雰囲気を確認
同じ「支援学級」でも、学校によって指導方法や雰囲気は異なります。私が発信している内容と異なることもあるでしょう。
学習の様子、教室の雰囲気を知るために、見学や面談をしておくことをおすすめします。
注意点3 年度途中の変更は基本的にできない
「支援学級に入りたい」と思っても、すぐに翌日から変更できるわけではありません。
在籍変更は原則として年度替わり(新学年のタイミング)で行われます。つまり1年に1度のチャンスなので、早めに検討して準備しておく必要があります。
タイミングの見極め方
以下のようなサインがあるときは、支援学級を検討するよいタイミングです。
- 学習の遅れが積み重なってきている
→ 苦手を取り戻すよりも、支援学級で基礎から積み上げる方がスムーズです。 - 学校生活がしんどそうに見える
→ 行きしぶりや不安、トラブルが増えている場合は環境を整えるサインです。 - 先生から繰り返し支援学級を勧められる
→ 学校側も「今の環境では難しい」と感じていることが多いです。面談でしっかり話を聞きましょう。 - 就学・進級のタイミング
→ 入学や学年の切り替え時は環境の変化を受け入れやすく、支援学級に移る自然なきっかけになります。
まとめ
特別支援学級に入るタイミングは、基本的には「なるべく早め」がおすすめです。
- 学習の遅れや不登校につながる前に環境を整えることができる
- 基礎からじっくり学べる
- 安心できる人間関係を築きやすい
- 生活習慣が整いやすい
一方で、子どもの気持ち等も踏まえて準備は整っているかをよく考える必要があります。
保護者の方へメッセージ
「特別支援学級に入る」と聞くと、不安や迷いを感じるのは当然です。
しかし、支援学級は「できない子の場所」ではなく、その子に合った学び方ができる場所です。
無理に通常学級で頑張るより、安心できる環境で「できた!」という経験を重ねる方が、長い目で見て確かな成長につながります。
大切なのは「子どもの将来につながる環境はどこか」という視点で考えることです。
もし迷ったときは、学校や支援学級の先生に相談してみてください。きっと一緒に最適なタイミングを考えてくれると思いますよ。